『子どもの食育』Q&A 管理栄養士より回答

2016年 2月 13日



2016年2月6日(土)第1回クラブ説明会を開催させていただきました。その際、ゲストスピーカーとして管理栄養士の森晋一郎さんをお招きし、『サッカー選手の食育』について講演いただきました。

参加者の皆様にご記入いただきました、全ての質問にご回答いただきました。下記にて回答内容を掲載致します。

DALE SPORTS CLUB

食事コーチング 質問シート(11枚:14問)

・練習、試合中の飲み物は、何がよいか。

・普段の飲み物は何がいいですか(幼稚園生です)。

・最近、牛乳は体に悪いような情報をよく聞きますが、どうなのですか。積極的に飲ませていいでしょうか。上記の質問を要約して、

Q.飲み物はどのようにするといいですか(普段、練習の前中後、試合の前中後)。

A.水分補給としては、基本的に水でいいです。食事をとれなかったときや、食事と食事の間が通常よりもあいてしまうときなどは、上手にスポーツドリンクなどを飲むといいでしょう。

夏など、多くの水分補給が必要なときには、水では多くの量はとりにくので、スポーツドリンクを薄めたものを使ったりします。

ただし、糖分の入ったものをとりすぎると満腹感のため、本来とるべき食事がとりにくくなるので、(年代が低いほど)注意が必要です。

栄養補給としての水分を考えれば、牛乳、果物や野菜の100%ジュースやスポーツドリンクなどが考えられます。

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*牛乳は体に悪いなどの情報がありますが、スポーツ栄養学ではカルシウムやタンパク質の供給源として、お勧めしています。新たな情報がありましたら、共有させていただきたいと思います。

・運動後になるべく摂取した方がいい、食べ物、飲み物はありますか。

・ナイター練習後(夜9時以降)食べさせたらいい食べ物はなんでしょうか。

・練習、試合前の食事で、気をつけた方がいいことはありますか(とるといい食材は?)


Q.食べ物はどのようにするといいですか(普段、練習の前後、試合の前後、遅い時間)

A.基本的には、1日3食を規則正しく食べることで、生活リズムを整え、コンディションづくりに役立てます。また、練習や試合後30分までにバランスのいい食事をとることで、疲れが残りにくくなるなどの効果があります。しかし、そのタイミングでバランスのいい食事をとるのは、なかなかむずかしいでしょう。(*今後これに近いものをとれるように、コーチングしていきたいと思います)

夜遅い食事になってしまうこともあるでしょう。次の日に疲れを残さないようするためには、睡眠を妨げないように、消化のいいものをとるのが効果的です。そのためには、油脂の少ない食事をお勧めします。例えば、「おじや」「スープ」などはいかがでしょう。(*また練習や試合の直前も、油脂の多いものは避けるといいでしょう)

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Q.好き嫌いをなくすべきですか(キノコが嫌いです)。

A.アレルギーなどはしょうがないですが、できるたけ好き嫌いは多くない方がいいでしょう。合宿など、代わりを用意できないことが、これからでてきます。そのときに、しっかり食事がとれないことで、できるはずのパフォーマンスを出せないことのないように・・・。

どうしても、嫌いなものもあるでしょう。その場合は、代用できる食品があります。日常ならば、代用品をとるように意識することが大切です。(例えば、きのこ類の代用なら、海藻類やきくらげなど)


Q.食の細い子は無理してでも、たくさんご飯を食べた方がいいですか。

A.小学生年代は食べるトレーニングの時期です。今後の食べる力は、この時期にかかっています。合宿など遠征で食べられないと、いいトレーニングやゲームはできないでしょう。ただし、無理をしすぎて食事自体が嫌にならないように注意しましょう。「少しずつ・・・」が大切です。

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Q.私が早食いなので、息子も同じようになってしまいます。なるべく気をつけていますが、なにかいい指導方法はないでしょうか。

A.方法として、2つ提案させていただきます。一つ目は、よく噛むことです。「1口30回」とよく言われますが、まずご自身が今はどのくらい噛んでいるかを考えてみて、現在5回なら10回にできたら成功です(ここでも「少しずつ」が大切なポイントです)。もう一つは、食事の皿数を多くすることです。自然と間がとれるものです。

その他にも、「食事前に時計を見る」「歯ごたえのあるものをメニュー入れる」など、もしかしたら、急ぐ環境や理由があるのかもしれません。

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Q.朝食で甘いパンを食べさせていいでしょうか(すごく甘党です)。昼夜で補うようにしています。

A.菓子パンのような甘いパンだけを食事としていると、他の栄養素がとれにくくなります。総エネルギーは補えても、タンパク質、その他のビタミン、ミネラルはあまりとれません。昼と夜でその分を補うのは、とてもむずかしいものです。

甘いパンは、緊急時や補食として召し上がるのがよさそうです。

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Q.「背が伸びる前には、いったん横に太る」は本当ですか。Q.「小さいころに筋肉をつけすぎると、背が伸びない」は本当ですか。

A.どちらもよく耳にすることですが、両方ともあまり信憑性はないと考えます。筋肉と骨の成長には関連性があります。食事では、筋肉・骨の成長のためにタンパク質・カルシウムをとることが重要です。
小学生年代では、筋肉トレーニングは効果的な時期ではありません。この時期には、多様な動きを覚えるトレーニング(コーディネーショントレーニングなど)が効果的です。


Q.小学校低学年男子の必要カロリー(朝・昼・夕)はどのくらいですか。

A.1日の必要カロリーは、活動強度の高い子供(8歳くらいから)は2000㌔カロリー以上になります。これは、日常に運動習慣のない大人よりも多い量になります(目安)。つまり、お父さん、お母さんより多く食べるための食事トレーニングが必要だということになります。

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Q.三角食べができず、おかず→ごはん→汁物、一点集中で食べています。なにかいい指導方法はないでしょうか。

A.小学生年代は、三角食べも含めてのトレーニングが重要です。一点ずつ食べていては、「量を多く、バランスもよく」はむずかしいでしょう。

食べ合わせの妙を楽しめるといいですね。丼もの、ワンプレート、サンドイッチのようなもので、食べ合わせを自然と楽しめる状況をつくってみてはいかがでしょうか。

とはいっても、簡単ではないかもしれません。そのときには、無理しすぎないことも大切です。食事自体が嫌にならないようしたいものです。工夫をすれば「量とバランス」の達成も不可能ではないのですから。

また、しっかり食べても目に見えて、大きくなったりしないことも多くあります。強くなるとは、竹のしなやかさのような「質」も重要です。



☆食事コーチングでは、「いつ、なにを、どのくらい」の目安を示します。これらは、目安であって、個人差があるのが当然です。自身の場合は、どうなのかの評価が大切です。

また、カラダにいいといわれる食品を偏って食べることは、実はカラダにいいことではないのです。「バランスよく」が重要です。


プロフィール

森 晋一郎 (もり しんいちろう)

日本サッカー協会公認の指導者ライセンスを持ちサッカー指導者として活躍した。総合型地域スポーツクラブでは、シニア年代の運動指導。全国各地で講演会などの講師も務める。

全国の書店で販売されている、小学生から中学生までのスポーツ選手を育てるレシピ集『スポーツフルコース・レシピ』を監修。幅広い分野で活躍する栄養士である。

資格

管理栄養士

健康運動指導士

日本サッカー協会SMC grade3

森 晋一郎 監修 レシピ本

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